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前回は自筆証書遺言でした。自分で作成して、自分で保管するか、法務局で預かってもらうかはあるものの、どっちも自筆証書遺言。ただ、法務局預かりの自筆証書遺言は「検認」が不要な点で、公正証書遺言にちょっと近いもの、かもしれません。

 

 

1.公証人?なにそれ?

さて、公正証書遺言に欠かせないのが「公証役場」と「公証人」。

公証人がいる事務所?が公証役場なのですが、公証人という職業について、聞き慣れない、知らない、という方が多いと思います。

 

公証人とは・・・(日本公証人連合会のHPの抜粋です)

公証人は、国の公務である公証事務を担う公務員です。しかも、公証人が担う公証事務は、国民の権利義務に関係し、私的紛争の予防の実現を目指すものであり、公証人が作成する文書には、強制執行が可能である公正証書も含まれます。そのため、公証人は、単に高度な法的知識と豊富な法律実務経験を有していることが必要であるばかりでなく、公務員として、党派性がなく、中立・公正でなければなりません。この点で、一方当事者からの依頼を受けて、依頼者の代理人等として依頼者の公正な利益のために活動する弁護士や司法書士等とは、根本的に異なっています。
このような理由から、公証人は、原則として、判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな者で、公募に応じた者の中から、法務大臣が任命することになっているのです(公証人法第13条)。なお、現在は、多年法務事務に携わり、法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者で、かつ、検察官・公証人特別任用等審査会の選考を経て公募に応じた者についても、法務大臣が公証人に任命しています(公証人法第13条の2)。
公証人は、国の公務である公証事務を担う公務員ですが、国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営しており、手数料制の公務員とも言われています。
公証人は、全国で約500名おり、公証人が執務する事務所である公証役場は約300箇所あります。

 

つまりは、契約書等を公文書として作成してくれるお役所で、元裁判官や元検察官の人がやっていますよ、といったところです。

 

公証役場は、名古屋市内に3箇所、愛知県では・・結構あります。

そして、公正証書遺言は、この「公証人」に遺言書を作ってもらう、という形式の遺言書です。

 

 

2.公正証書遺言のメリット・デメリット

前々回のメリット・デメリットにて、公正証書は、

1.(+)遺言方式(法律上の要件)のミスはない。遺言書が無効となることはまずありえません。

2.(+)遺言の内容についても、チェックがされる。財産の書き間違い等が起こることは少ない。

3.(+)遺言書(原本)を公証人役場で保管してくれる。紛失の恐れはない。

4.(+)検認不要。

5.(-)費用がかかる。財産額によりますが、数万円~十数万円ほどの費用がかかります

6.(-)公証役場に遺言書作成のための資料を送る必要がある。手間がかかる。

 

と記載しました。

自筆証書遺言と比べての大きなメリットは、2.財産の書き間違いがほぼ無い、4.検認不要、の2点が大きいと思います。

そして、大きなデメリットは、5.費用がかかる、という点です。

 

財産の書き間違いがほぼ無い、という点ですが、公証人が謄本、評価証明をチェックし、記載ミスの無いように記載します。また、預貯金も金融機関に通用する書き方にて記載してくれますので、その点も安心です。謄本等を見て、所有者等が違っているなど間違っているかも、という点があれば、もちろん指摘してくれます。また、ちょっと特殊?な内容を入れたいなどの場合でも、相談できます。

 

さて、「ほぼ書き間違いがない」と書いたのには訳があり、公証人も依頼主の財産を勝手に調べることができないので、依頼主が持ってきた資料からしか判断ができません。依頼主が実は、預貯金、不動産が公証人に出した資料以外にあったとなると、書き間違いに無いにしろ、正確な遺言書が作成されない、ということになります。

 

 

3.検認不要だけど、法務局で預かった遺言書も検認不要では?

検認不要、というトコロは、法務局預かりの自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度)と同じようにも見受けられますが、遺言を残した方が亡くなった後の手続きで、若干の違いが生じます。

自筆証書遺言書保管制度の場合、遺言書を受け取るのには、法務局が出しているPDFによると、(http://www.moj.go.jp/content/001318461.pdf の2枚目です)

 

①    法定相続情報一覧図

OR

②   遺言者の出生~死亡までの戸籍(通常、3枚以上そろえる必要があります)

+ 相続人全員の戸籍、住民票(相続人の人数×2枚以上)

 

のどちらかがいる、となります。なお、法定相続情報一覧図は法務局で作成できるのですが、作成するためには②の書類がいります。(PDFに活用ください!って書いてるので②より楽って余計誤解しそう、、でも、他の手続きで便利だったりするので作成するのはアリです。)

つまり、戸籍が沢山いる、兄弟姉妹の戸籍を取るために、兄弟姉妹に戸籍を取ってきてもらう(通常、籍の違う兄弟姉妹の戸籍を取ることができません)という手間がでてきます。

 

兄弟仲が悪いので親がせっかく遺言書を残してくれた!

しかも、間違いのないように法務局預かりにしてくれた!

 

………でも、その遺言書をもらうために、仲の悪い兄弟に戸籍を頼まないといけない……

 

という事態もありうるのです。

 

 

一方、公正証書遺言は、作成時に、親子関係がわかる戸籍(通常、遺言を残す方と、財産を貰う方各1枚)があれば作成ができます。

また、遺言書を使う場面でも、亡くなった遺言者の戸籍(相続人であれば取得可能です)と財産を貰う方の戸籍(と住民票など)があれば、そのまま手続きができます。

 

検認不要! といっても、「必要な戸籍」という点で大きく異なります。

なお、検認するためには②の書類が必要です。

そのため、戸籍が少なくて済む、といえるのは公正証書遺言だけである、といえます。

 

 

4.相続人への通知がない。

公正証書遺言のもう1つの特徴ですが、他の相続人に遺言書の通知が行かない、ということがあります。

検認の場合には、検認前に、自筆証書遺言書保管制度は、取得の後に、それぞれ他の相続人に通知が行きます。

通知の内容は、

検認の場合には、遺言書の検認手続きをやるので、立ち会いたい場合には来てください、(遺言書があるので検認手続きします、ということ)

自筆証書遺言書保管制度の場合には、遺言書を預かってますよ、という内容のものです。が、遺言書がある、ということは他の相続人のわかるところとなります。

しかし、公正証書遺言の場合には、通知制度がない。(というより、公正証書遺言はご自宅等で保管されている、そのまま検認手続なしで使える、通知するタイミングがないじゃん、といったところでしょうか)

 

 

5.司法書士に頼もうよ!

ただ、自筆証書遺言書保管制度や検認で兄弟の戸籍がいる、でも頼めない、という場合、司法書士に依頼する、という手もあります。

法定相続情報一覧図の作成をする、不動産があれば、登記手続をご依頼いただく、という手続きとセットにはなりますが、必要な戸籍を集める権限が司法書士には認められています。(戸籍だけ集める、ということは司法書士にはできません。司法書士の業務の一環として認められている権限ですので、司法書士の業務をご依頼頂く必要があります。この点は、他の士業さんでも同じかなと思います。業務に関係ないのに権限も何もないはずですので)

 

また、公正証書遺言の作成するにあたって、もちろんご自身で公証役場へ問い合わせて、書類を集めて、手続きを進める、といったことも可能です。(また、公証の時に、立会人(証人)を2名用意する必要がありますが、もし居ない場合は、公証役場の方が探してくれるかと思います。(その場合、証人になられた方に心付けをお渡しくださいね))

 

ただ、こちらの手続きも司法書士にご依頼頂くこともできます。書類集め、公証役場との折衝、日程調整、証人の手配も行いますので、手間は減るかと思います。内容についても、公証役場と司法書士がダブルチェックするので、より間違いがない、のではないでしょうか。

また、お話しをお伺いし、どの遺言書が良いのかの判断も事前にできるかと思います。

もちろん、かかる費用が安いに越したことはないかと思います。司法書士に依頼頂くと、数万円(更に公正証書遺言であれば、公証役場の報酬と合わせて数十万)になるかと思います。でも、キチンとした遺言書を作成したい、という場合には、専門家にご依頼頂くのも手かな、と思います。

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